今回からは実際にLaTeXを使って文書を作成します。

環境構築

ここではWindowsを対象にします。

こちらのサイト

あべのりのページ
http://www.ms.u-tokyo.ac.jp/~abenori/mycreate/index.html

からTeXインストーラー3とplugin集をダウンロードして、実行します。

使い方はreadmeに書いてありますが、解凍してpluginとインストーラを同じフォルダに置き、実行するだけです。インストールするものを選択できますが、全部インストールしてください。このインストーラはインターネット経由で必要なファイルをダウンロードするので、ネットに繋がっていないと使えません。接続先/時間帯によっては繋がりにくいこともあるので、失敗するときは変えてやり直してみてください。

LaTeXによる文書作成の手順

LaTeXによる文書作成の手順はワープロソフトのそれとは全く異なります。

  1. テキストエディタ(もしくは専用のエディタ)で拡張子が”.tex”のファイルを作成する。このファイルに文章の内容と見た目の設定を書きます。
  2. LaTeXを使ってtexファイルをコンパイル(変換)して拡張子が”.dvi”のファイルを作成する。
  3. dviファイルを表示できるソフトで画面に表示して確認する.
  4. (必要があれば)dviファイルをpdfファイルに変換する.

以上のとおりです。プログラミングをする人には分かりやすいと思います。

実際に使ってみる

では、実際に作ってみましょう。

texファイルの作成は何を使っても良く、極論を言えばメモ帳でも作れます。が、ここでは専用のエディタであるWinShellを使います。
texインストーラー3のpluginが正しく動作していればWinShellはインストールされているはずです。

WinShellを起動したら、テキストを入力するところに以下の内容をまるごとコピペしてください。

\documentclass[a4paper]{jsarticle}
\usepackage{amsmath}
\usepackage{euler}
%
\title{バーゼル問題の紹介}
\author{}
\date{}
%
\pagestyle{empty}
\twocolumn
%
\begin{document}
\maketitle
\section{バーゼル問題とは}
バーゼル問題とは、平方数の逆数をすべて(無限に)足し合わせた値はいくらになるか、という問題でレオンハルト・オイラーによって1735年に解かれました。数式で書くと以下のようになります。
%
\begin{align}
 \sum_{n=1}^{\infty}\frac{1}{n^2} = \lim_{n \rightarrow \infty} \left( \frac{1}{1^2} + \frac{1}{2^2} + \cdots +\frac{1}{n^2} \right) \label{問題}
\end{align}
%
バーゼル問題は、クレイ数学研究所はミレニアム懸賞問題の一つである「リーマン予想」にも関連のある重要な問題です。
%
\section{オイラーによる解法}
ここではオイラーによる解法の一つを示します。ここで使われる重要な手法はマクローリン展開と因数分解のふたつです。

因数分解は中学校で習いますが、マクローリン展開はだいたいの理工系の大学生が1年次に習う内容なので簡単に紹介します.
マクローリン展開とは、無限回微分可能などんな関数f(x)についても、
%
\begin{align*}
 f(x) &= f(0) + f'(0)x + \\ &   
 \frac{f''(0)}{2!}x^2 + \cdots + \frac{f^{(n)}(0)}{n!} x^n + \cdots \\
      &= \sum_{n=1}^{\infty} \frac{f^{(n)}(0)}{n!}x^n
\end{align*}
というように展開できるというものです。

それではここから実際の解法に入っていきます。
まず、$\sin (x)$のマクローリン展開を考えます.
%
\begin{align*}
 \sin (x) = \frac{x}{1!} - \frac{x^3}{3!} + \frac{x^5}{5!} - \frac{x^7}{7!} + \cdots
\end{align*}
%
この両辺を$x \ne 0$としてxで割ると
\begin{align}
 \frac{\sin (x)}{x} = \frac{1}{1!} - \frac{x^2}{3!} + \frac{x^4}{5!} - \frac{x^6}{6!} \cdots \label{マクローリン展開}
\end{align}
を得ます.次に, $\frac{\sin (x)}{x}$ は $ x = \pm n \pi$ を解に持つので,次のように形式的に因数分解することも出来ます.
\begin{align*}
 \frac{\sin (x)}{x} &= \left(1-\frac{x}{\pi} \right) \left(1+\frac{x}{\pi} \right) \left(1-\frac{x}{2\pi} \right)\\
                    &  \left(1+\frac{x}{2\pi} \right)\left(1-\frac{x}{3 \pi} \right)\left(1+\frac{x}{3 \pi} \right) \cdots
\end{align*}
中学校で習う展開公式を使って隣り合う2項を掛け合わせると,
\begin{align}
 \frac{\sin (x)}{x} = \left(1-\frac{x^2}{\pi^2} \right) \left(1-\frac{x^2}{2^2 \pi^2} \right)\left(1-\frac{x^3}{3^2 \pi^2} \right) \cdots \label{因数分解}
\end{align}
となります.

(\ref{因数分解})式を再展開したときの$x^2$の係数と(\ref{マクローリン展開})式の$x^2$の係数をそれぞれ求めると,
\begin{align}
 & -(\frac{1}{\pi^2}+\frac{1}{2^2\pi^2}+\frac{1}{3^2\pi^2} + \cdots) = - \frac{1}{\pi^2} \sum_{n=1}^{\infty} \frac{1}{n^2} \label{係数因数} \\
 & -\frac{1}{3!} = -\frac{1}{6} \label{係数マクローリン}
\end{align}
であり, (\ref{係数因数})と(\ref{係数マクローリン})は等しいはずなので,
\begin{align*}
 - \frac{1}{\pi^2} \sum_{n=1}^{\infty} \frac{1}{n^2} = -\frac{1}{6}
\end{align*}
となります.これを整理すると
\begin{align*}
  \sum_{n=1}^{\infty}\frac{1}{n^2} = \frac{\pi^2}{6}
\end{align*}
とでき、よって(\ref{問題})が解けたことになります。
%
\end{document}

適当なファイル名を付けて保存したら、[F5]キーを押してみましょう。すると、下の出力という一角に何やらごちゃごちゃ表示されると思います。この時にtexファイルがコンパイルされてdviファイルが作られます。それが終わったら[F7]キーを押してください。自動でdvioutというソフトが起動して、dviファイルを表示してくれます。

WinShellでF5を押したとき

このようにして、texファイル作成 → コンパイル([F5]キー) ?→ 表示 ([F7]キー)という手順を踏むので、覚えておいてください。

*補足
今回は、少なくとも2回続けてコンパイルしてください。でないと正しい出力結果が得られません。理由はそのうち出てきます。

pdfファイルにする

dviファイルをpdfファイルにするのはとても簡単です。
dvioutのツールバーにあるニコニコマークを押します。すると、dviファイルと同じ場所にpdfファイルを自動で作ってくれます。

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